99.9%の事実‼和牛の原点を知る

原点。

皆さんが考えるいい牛ってどんなイメージですか?いい肉質?高級な牛肉?

ここ数年、テレビや世界からも注目される「神戸ビーフ」。その原点をひも解いていきましょう。

99.9%の事実‼和牛の原点を知る

但馬牛ってどんな牛?

但馬牛は和牛の中の「黒毛和種」という種類の牛。「但馬牛」と定義されているのは兵庫県産の黒毛和種のお肉のことです。お肉には、脂肪の入り方や肉の取れる割合でランクがつけられており、その一定ランク以上の但馬牛が「神戸ビーフ」と呼ばれます。つまり高級な但馬牛=神戸ビーフというわけです。


昔から、ここ但馬の地では肉質だけではなく、姿や繁殖能力など素晴らしい牛がいて、自分の地域の牛を少しでも良くする目的で但馬牛は全国に買われていきました。そして現在、全国の黒毛和牛の90%以上、前沢牛、飛騨牛、佐賀牛などに但馬牛の血が流れているのです。



「弁当忘れても傘忘れるな」

但馬ではそういう言葉が伝えられるほど雨が多く、昼夜の寒暖差が大きいところ。山々には豊富な水、野草や薬草も多くありました。夏場には集落から離れた山の上の放牧場で飼われ、栄養満点の蔵を食べて険しい山を行き来することで足腰の強い健康な牛になりました。冬場には雪が多く、「まや」と呼ばれる牛の寝床で飼われ、栄養が少ない干し草などを与えられていたので辛抱強い丈夫な牛になりました。


田畑を耕し、子牛を生んで生活を支えてくれる牛。農家の人たちが毎日愛情深く、マッサージをしていたので皮膚や毛は柔らかく肉質も柔らかくなったといわれます。

豊かな自然と、愛情深い人々が暮らしていたことで素晴らしい牛ができたといっても過言ではありませんよね。

牛を愛し続けた男「前田周助」

  • 前田周助はイケメンだったらしい

道路も交通手段も発達していなかった時代、険しい山と谷に囲まれた但馬では他の土地にいる牛との交配は困難。この谷の中だけで交配が続けられていました。

これが優れた遺伝子が良い形で引き継がれる結果となり、但馬牛の血統を確立する要因となりました。これを閉鎖育種といい、現在では意図的に限られた範囲で交配が進められています。


この但馬牛がいい牛として育つ条件を確立させた「前田周助」という一人の男がいました。江戸時代にさかのぼります。

この周助さんは小さなころから大の牛好きで知られ、いい牛を定める眼を持っていました。小代は小さな田んぼが多く、農家の暮らしは楽ではありませんでした。この谷の人が少しでも楽に暮らせる方法として、優れた牛を作って高く売ることが一番の方法と、その仕組みづくりをしました。周助さんの努力で増やされた小代の谷の子牛たちは高値で飛ぶように売れて各地に広がりました。

但馬牛絶滅の危機!?

そんな周助さんが亡くなってから30年ほどたった明治後半に「純粋種が姿を消す」という危機を迎えます。

小柄な日本の牛を外国の牛のような体格の良いものに改良しようと外国種の雄牛を輸入して交配に使うようになりました。これが大失敗!

生まれてきた牛は、気性が荒く大食らい、働きも悪く、小さな田んぼでの作業には不向き。病気や肉質の低下などなど・・・


終戦後、元の素晴らしい但馬牛を取り戻そうと日本中を探して見つかったのが小代の一番奥の人里離れた集落「熱田」

そしてその熱田の血統の中から伝説の名牛「田尻号」が生まれるのです。


Column

伝説の廃村になった村「熱田」

大型の牛を生産することが政府によって勧められた明治時代、もともと日本にいた牛と外国の牛を掛け合わせた。

小代には「ぬい」を始めとする純系の但馬牛がいた。純粋な但馬牛の集団が「熱田」にだけ奇跡的に残っていたのだ。

牛と人との暮らしの中で生まれた奇跡を紐解いていく。

伝説の廃村になった村「熱田」

レジェンド牛「田尻号」を育てた男、田尻松蔵

  • 田尻松蔵さんと牛
  • 名牛「田尻号」
  • 名牛「田尻号」

黒毛和牛の99.9%は昭和14年に小代の貫田地区で生まれた『田尻号』の子孫だと証明されています。

「その血が入っていない牛はいない」とまでいわれる名牛が生まれたのは昭和14年。小代区貫田の田尻松蔵さん宅に生まれた雄牛。母は「ふく江」。田尻号は13年間に1500頭近い子供を自然交配で残しています。またその子牛や孫牛は肉質改善にと、宮崎、飛騨、松坂、米沢など各地の黒毛和牛の産地へ次々と引き取られ、黒毛和牛の肉質向上に寄与したのです。実に全国の和牛の9割を占める黒毛和牛の肉質の改良に貢献し、その血統を全国の牛にしっかり残しています。松蔵さんは「ふく江」を大変かわいがり、ふく江が生んだ4頭目の子牛が「田尻号」でした。松蔵さんは田尻号を生産した功績が認められ、昭和30年に黄綬褒章を受賞しています。

小代ガイドクラブのツアーでもっと「但馬牛」を知る

但馬牛の今は、その条件の一つでもかけていたらあり得なかったでしょう。そしてそのスタートは、小さな小さな村から始まりました。


そんな小代の魅力を伝えるため、地元住民らで結成された「小代ガイドクラブ」。畜産農家の協力も得ながら「和牛のふるさと」として、より多くの方に但馬牛のルーツを知っていただくため、ガイド活動をしています。多くの方とかかわりあいながら、奥深い小代を肌で感じてもらえるツアーです。

和牛のルーツをめぐるツアーのようすはこちらからご覧いただけます 

小代ガイドクラブ【Aコース】「日本の和牛のルーツを巡るツアー」
小代ガイドクラブ【Aコース】「日本の和牛のルーツを巡るツアー」
小代についてより深く知ることのできる、ガイド付き散策ツアー…
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小代ガイドクラブ【Bコース】「小代の絶景を巡る」
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※こちらのツアーは台風7号の影響により現在中止となっており…
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帰りは但馬牛を買って帰ろう!

本場の美味しい但馬牛をどうぞ。 神戸ビーフの素牛である但馬牛(たじまうし)。繁殖から販売までの一貫生産を手掛ける上田畜産がお届けする、但馬牛肉専門店「牛匠上田」ぜひお立ち寄り下さい。香美町小代観光協会すぐ横です。

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